民主苫小牧記事抜粋

2022年12月

12月定例会一般質問 2日(金)苫小牧市立中央図書館について

【入館者数、貸出数減少の対策について】
指定管理者任せにせず市教委が責任をもってかかわるべきではないか

2022年12月2日(金)原啓司議員は、12月定例市議会一般質問で2014年に指定管理者制度を導入してから9年目をむかえた苫小牧市立中央図書館について質問した。指定管理導入の議論では、図書館協議会の答申において「指定管理者制度の導入に関し、大きな不安と危惧を抱いており、苫小牧市立中央図書館に指定管理者制度を導入すべきではない」との意見が表明されたが、それに反して導入へと進んでいった経過がある。指定管理2期目の最終年を目前に控え、ここでしっかりとこれまでの経過を総括し、検証する必要があると指摘した。
指定管理によりサービスが向上し、入館者や貸し出しは、増えるとされてきたが、ここ数年大幅に減少している。コロナによる休館の影響があるが、全国的な活字離れの影響による減少もあると10月の決算委員会で答弁されている。
とくに10代から20代の貸出人数は全体の約17~18%にとどまっており図書館に来ていただけるような若年層への働きかけが必要だと対応を求めた。
また、この問題では、図書館協議会委員からの意見もあるように、学校司書や小・中学校との連携が求められている。学校の授業での日々の学びをさらに深める場としてのどのようにして図書館を利用してもらうかの工夫が必要であり、この課題について指定管理者任せにせず市教委がしっかりかかわるべきだと対応を求めた。

【蔵書の充実について】
5年で15件の郷土資料の除籍、「不明(行方不明)」、「未返却」の理由では、あまりにも管理がずさんではないか。

来館者の充実には蔵書に充実は必須であると指摘し、指定管理により3000万円の購入予算が確保されるとされたが、指定管理導入後のどのように蔵書整備したかをただし、市民、地域や利用者の意見が確実に購入図書に反映されるような仕組みの徹底を求めた。
●除籍=廃棄について <除籍基準に合えば廃棄しかないのか>
一方、「一定数、新規に購入されるが、同じ数だけ廃棄されている」「貴重な資料についても除籍されているのではないか」と心配する市民の声もあると紹介したうえで、中央図書館の除籍基準と過去5年間の除籍の詳細について説明をもとめ、除籍の決定に市教委がどのようにかかわっているのかただした。
本来、除籍の対象となっていないはずの郷土分野の本がこの5年だけでも15件も書籍されている。除籍されたものの中には市町村史といった貴重なものある。
除籍=廃棄に至った理由については、「不明」や「未返却」とされた。
郷土資料は、貴重で失われると二度と復元不可能であるからこそ除籍基準から除外されているはずだ。返却されないまま除籍対象になるなどあってはならないことで、一般図書と違う厳重な手続きが必要ではないかと対策の強化をもとめた。また、不明のまま除籍対象となるのはなぜそのようなことが起こるのかとの点については、「(手続きせず)無断の持ち帰りが理由として考えられる。完全には防ぎきれない」と答弁された。持ち帰りと簡単に言うが、あまりに管理がずさんではないかと指摘し、背景には、先日の決算委員会で明らかになった通り、2022年の市立図書館の離職率は24.1%で、短期間で職員が入れ替わる、業務の継続性が保たれないほどの厳しい職員体制が影響しているのではないかと迫り、まさに指定管理導入時に懸念された、状況が現実になっていると厳しく指摘した。教育部長は「郷土資料については、一般資料とは異なり原則持ち出し出来ないことになっているが、申請書の提出によって特別な貸し出しとして認めている。返却が遅れた場合もこまめに督促を行っている」と答えた。
また、市民の財産である図書を毎年一定数の除籍をしなければならない理由に保管場所の課題があるのなら、学校の空き教室や公共施設のスペースを利用するなど、新たな保管場所を確保する努力も必要ではないかと迫った。
除籍基準に基づいて除籍される図書に点検、決定を誰がどの時点てどのように判断し、市教委の目がどの時点で入るのかと除籍の流れについてただした。

【レファレンス】
件数の減少しており、高い離職率24.1%(2021)により業務の継続性が絶たれている。これでは利用者の要求に応えられないのではないか。

続いて、レファレンス(調査、相談)の体制について質問した。図書館において幅広い知識と高度な専門性が求められるレファレンスの依頼件数もこの5年間で半分以下に激減している。「聞かれたらすぐに資料が出るようにしてほしい」という図書館利用者の声のどうこたえるのかと、図書館司書の研修の充実やスキルアップの取り組みについて質問した。
またレファレンス件数の減少の背景にも、10月の決算委員会で明らかになった通り、2021(R3)年度の図書館の離職率24.1%が示す通り、短期間での職員の入れ替わりがあること。その背景として、司書のフルタイムでも月約17万にも満たない官製ワーキングプアともいえる処遇も影響していると指摘した。
今の図書館の現況は、指定管理導入時に、図書館協議会の答申でも指摘されていたとおり、「継続が絶たれ、専門的知識を持った職員が10年もしないうちに失われていく」と言う点がまさに現実になっているのではないかと指摘した。

【文部科学省からの8月30日付事務連絡について】
図書館の自由への介入に対し、全く無批判な、機械的対応でいいのか。市として毅然とした対応すべきではないのか。

「北朝鮮当局による拉致問題に関する図書等の充実に係るご協力等について」という事務連絡が、文部科学省から各都道府県の図書館などに出され、各図書館、学校図書館に対し、拉致問題等の図書の充実を図り、拉致問題に関するテーマ展示を行う等、児童生徒や住民が手に取りやすい環境整備を求めています。この事務連絡に対し市教委としてどのように対応したかただした。
教育部長は、「情報提供ということでメールで転送した。『図書館の自由に関する宣言』の趣旨を尊重し、図書館の自主性に任せるという立場だ」と説明した。また、「図書館から相談があれば対応するが、市としては特に依頼や指示をするということはない」と答えた。
この事務連絡については、日本図書館協会が意見表明(10/11)を出し、日本出版者協議会が声明(9/29)を出している、全日本教職員組合が撤回を求める要請(9/8)をそれぞれ出している。これらの団体に共通する声は、「図書館の自由に関する宣言」の侵害で図書館の自由への介入だという事だとし、文部科学省によって特定の分野の本の充実を求められることなど今までになかったことであり、権力による選書への介入はどんな場合も許されないと指摘した。
市の上で市教委がやっているような何の問題意識ももたず、無批判で機械的な対応でいいのかと厳しく批判した。
教育部長は、「今回の事務連絡は、あくまで国からの協力のお願いということであり、市としての判断や見解を述べるものではない」と、まるで他人事かのように答弁された。
事務連絡はあくまで「お願いレベルだ」というが、この連絡の発端は内閣官房から発せられ、文部科学省へと要請されている。国からの文書となれば、指示・命令と受け止められ、圧力となるのではないか。「図書館の自由に関する宣言」は、図書館が戦前戦中、国民を思想善導する機関として国民の知る権利を妨げる役割を果たしてきた。この反省に立ってすべての図書館に掲げられている。政府がテーマを指定して図書の充実を求めるというのは図書館の自由への介入だ。
市教委として、図書館の自由への介入を認めないという毅然とした意志表明が必要ではないかと指摘した。
職員体制の確保の問題でも、蔵書の管理についても、この図書館の自由に介入する事務連絡の対応でも、どの問題でも対応に市教委と図書館との間に相当の距離を感じざるを得ない、指定管理者任せで他人事のような感覚になっているように思えてならないと厳しく指摘し、市教委がしっかりかかわり市民に信頼される図書館を目指すべきではないか。

12月6日定例議会の一般質問

12月6日定例議会の一般質問

 12月6日定例議会の一般質問で冨岡隆議員は,市民の安全安心を守る立場から欠陥機オスプレイが市街地上空を飛行した問題を取り上げ、理事者の姿勢を正しました。

 11月10日~19日に行われた日米共同統合演習に伴い、米空軍輸送機CV22オスプレイが同7日~19日までに市が把握しただけでも9回延べ19機、規定ルート外の市街地上空を訓練前から飛行したことが明らかになりました。

 10月27日には、市として「市街地上空飛行及び低空飛行を避けること、土日祝日及び、深夜総長の飛行への配慮、早期の情報提供など」市民の安全対策として強く要望していた経過があります。

 冨岡隆議員は,当初示された飛行経路が最初から市街地上空を飛ぶ経路になっていたことを資料に基づいて指摘。しかも市民からの通報も含めると,訓練初日の10日を皮切りに13日から演習の最終日19日まで毎日市街地上空を飛行している実態を示し,『行政も市民もばかにされているのではないか』「市長として市民の命を守る立場から抗議すべきではないか」とただしました。

 岩倉市長は,「市街地上空を避けるよう事前要望をしており、抗議する考えはない」「訓練は抑止力になる」等と述べるなど国と同様に軍事優先一辺倒の回答でした。
質疑の中では,欠陥機と言われているオスプレイが製造運用が開始されてからなんと54人も死亡、直近のわずか5年間だけでも14人の米軍が事故でなくなっている事も明らかになりました。

 冨岡隆議員は,こんなに死亡者を出す機種はありません。恐ろしさを感じる。
欠陥機と言われているオスプレイは速やかに日本から撤退すべきと語っています。

第4次環境基本計画(第1期ゼロカーボン推移計画)について

第4次環境基本計画(第1期ゼロカーボン推移計画)について

 12月定例会総合開発特別委員会において、『第4期環境基本計画』が第1期ゼロカーボン推進計画として示されました。計画期間は2030年までの8年間です。日本共産党の小野寺幸恵委員は、大変見やすく、わかりやすい内容であり、党市議団が提案してきたエネルギーの地産地消も盛り込まれているとし、一定の評価をしました。

 そのうえで、小野寺委員は「物足りない部分がある」と指摘しました。国の計画は2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すものであり、それを受け苫小牧市でも『ゼロカーボンシティ宣言』を発表しました。『環境基本計画』は、2050年までにゼロにするために30年まで取り組む中間計画の位置づけでなければなりませんが、今回示された計画は2030年までに48%削減する目標に留まっています。市長自身も「イメージだけではなく、ゼロを見通せる計画にしたい」と述べていることからも、2050年を見据えた計画策定の重要性を強調しました。

 環境衛生部長は、「現時点で2050年を見通し、確実なものにするのは難しいというのが現実。ゆえに、今は2030年目標を設定し、その実現を目指し全力で取り組んでいきたい」答弁しました。

 次に小野寺委員は、部門別の温室効果ガス削減目標について質問しました。部門別削減目標は、2013年度比で家庭部門が△66%、業務部門が51%、産業部門が38%、運輸部門が35%となっています。

 温室効果ガス総排出量の約71%が産業部門である一方、家庭部門は7.5%ですが、産業部門の削減目標が一番少ないことについて、小野寺委員はもっと高い目標の必要性を求めました。

 環境保全課副主幹は「産業部門は製造を伴う工場が発電源であり、製造過程の中で多くのエネルギーを必要としている。エネルギーを再生可能エネルギー由来のものに転換することは、現在の社会情勢では価格高騰や設備投資コスト、品質への影響など難しい状況であり、国と同等の38%とした」と答弁しました。

 そのうえで小野寺委員は、産業部門との連携・協力が不可欠な、エネルギーの地産地消の推進と温室効果ガス削減目標達成に効果的な施策として、エネルギの地産地消に関する市の構想や、地域産業振興につなげる仕組みづくりなど、市の考えを質問しました。

 エネルギーの地産地消について環境衛生部長は、「提案をいただいている地域新電力については、設立がゴールではなく、何をするか、できるか、採算が取れ持続的な経営ができるかが最低限の出資条件になる。今は、大規模な発電をしても、余剰電力の行き場がなく、蓄電池や水素で保管しようにもコストがかかる」と説明し、現状では、エリアを限定して電力を融通するマイクログリット※の可能性を追求していると答弁しました。

 ※マイクログリッド:エネルギー供給源と消費する施設をある一定の範囲でまとめて、電力・熱の安定供給しながら、エネルギーを地産地消する小規模な供給網。

 地域振興につなげる仕組みづくりについて港湾・企業振興課長は、「本市の豊富な再生可能エネルギーの地産地消や再エネ由来の水素、アンモニアなどの導入を推進し、地元企業が新たな事業へ挑戦する機運を高めるとともに、ゼロカーボンに向けた取組は企業誘致に寄与するため、地元産業の振興につなげていきたい」と答弁しました。

 また、家庭部門の削減目標66%について小野寺委員は、「あまりに大きな目標だが現実的なのか。達成しなければ目標だが何をしなければならないか、市民はわからない」と質問。

 環境保全課副主幹は、「人口減と北電公表の発電時に発生するCO2排出量の目標値(北電による再エネ比率を高める取り組み)を使用した32%の削減になり世帯あたり3.8tの削減が見込める。66%削減するためには、家庭で使用するエネルギーをさらに50%(世帯当たり1.9t)の削減が必要」と答弁しました。

 さらに、市民が取り組むこととして、たとえば使っていない電化製品の電源を消す、ストーブの温度を2度下げるなどを説明し、給湯器をエコキュートにする、冷蔵庫の買い替え、ZEH※の普及などを紹介しました。

 小野寺委員は、市が実施した冷蔵庫やLED照明への切り替えのための省エネ家電支援事業はわずか3日で申し込みがいっぱいになり打ち切っていること、省エネリフォームには多額の費用を要すること述べ、「66%達成のために市が何らかの応援をしないと意識があっても進まない」と、市の補助制度創設を提案しました。

 環境衛生部長は「今回の省エネ家電支援事業は国の地方創生臨時交付金を活用したものであり、枠の拡大考えていない。今後、財源の探索に努めたい」との答弁に留まりました。市長は、「財政は非常にタイトだが、政策判断も必要なこともあるだろう」と明確な答弁を避けました。

 ※ZEH:断熱性能の向上ばどで大幅な省エネを実現し、再生可能エネルギーを導入して、年間のエネルギー消費量の吸収をゼロとすることを目指した住宅

 さらに、CO2を削減する取り組みとして、緑を増やす活動の重要性を強調しました。苫小牧市は、緑の面積である緑被率が62%と高く、緑の基準でもある公園面積は60.39㎡(道平均:37.5%、国平均:10.1%)となっています。この環境を生かし、ゼロカーボンを意識した町内会の美化活動における花壇作りなどの推奨と美化活動助成金制度の活用、公園の管理や緑化の取り組みを実施する公園等里親制度のさらなる活用など、市民参加の緑化の推奨を提案しました。

 環境衛生部次長は「ゼロカーボンを推進する上で重要な取り組み。美化活動助成金制度について、制度のあり方を検討し、町内会の意見をお聞きしようと考えていた。今回の提案である町内会による緑化活動への本制度の活用も含めて制度の在り方を整理したい」


民間委託等の適正な労働条件の確保について

 12月定例市議会一般質問において、小野寺幸恵議員は民間委託や指定管理者制度の公共施設での労働状況について質問しました。2005年から2019年までの民間委託等の財政効果は35億2,000万円で、その多くが人件費の削減だと考えられます。

 9月議会の代表質問では、民間委託などでは賃金が低く、年間200万円以下の実態があることから、働き方の実態を把握しただすことを求めました。その際、「適正価格での発注が重要」「事業者が適正な雇用環境の確保ができるようにしたい」などと答弁していたことに触れ、小野寺議員は「適正価格、適正な雇用環境とは何か」と質問しました。

 「発注者として適正な価格とは、今までの実績額のみではなく、物価動向や市場実態を反映させた価格を設定している。また、不当に低い金額で入札する事業者が契約相手とならないよう最低制限価格を設定し、適正な労働条件の確保となるよう考えている」と答弁しました。

 小野寺議員は、公共施設の民間委託や指定管理者施設の求人情報から、「どの業務も年間200万円を切るか、ぎりぎり超えている程度。住宅管理(市営・道営)の仕事では、市直営の時は270万円から360万円もらっていた。民間委託の場合270万円をもらおうとすると、367日間休まず働く必要ある。これで適正な労働条件といえるのか」と迫りました。

 総務部長は、「賞与がどの程度もらっているのかわからず、一概には判断できないが、最低賃金を割っていないことや社会保険などの加入状況、労働契約などを見なければ判断できない」と、現状の働き方を容認する答弁でした。

 一方市は、様々な取り組みで適正な雇用環境の確保に取り組んでおり、2021年度からは、民間委託モニタリング制度の項目に最低賃金を下回っていないか、社会保険等に加入しているかなどを追加し、雇用の実態把握に努めています。しかし、評価方法はABC評価のみです。「さらに詳細をつかむ必要がある」との小野寺議員の指摘に、受注者に対しアンケート方式による実態調査に取り組むことを明らかにしました。

 さらに小野寺議員は、賃金の引き上げの実効性ある取り組みとして、公契約条例の制定を提案しました。公契約条例は、労働者に一定額の賃金を支払うことなどを義務付け、場合によっては、違反した場合は是正勧告や指名停止、契約解除などのペナルティーを科すことができるものです。さらに、賃金の下限額などを定めることもできます。

 これまで市議会では、幾度にわたり提案されてきましたが、そのたびに「情報収集に努めたい」との答弁に留まっていました。小野寺議員は、情報収集はどこまで進んでいるのか、条例制定について議論はされてきたのか、あらためてただしました。

 財政部長は、北海道で唯一条例(理念条例)を制定している旭川市での議論の内容、さらには最も早く条例(賃金条項を盛り込む)を制定した千葉県野田市の現状から、公契約に従事した職員としていない職員間で賃金に差が生まれること、最低賃金の上昇にともない効果が薄れてきていること、単独の自治体で条例を制定し事業者に働きかけても効果が期待できないなどと説明し、「最低賃金や労働関係法制に基づく国における公契約に関する法律制定が重要」との認識を示し、「公契約条例制定は現段階では難しい」と答弁しました。

自衛官募集における除外申請について

 第26回苫小牧市定例市議会において、小野寺幸恵議員は自衛官募集を目的に行なわれている自衛隊による住民基本台帳の閲覧について、除外申請を受け付けるよう提案しました。

 市民生活部長は、「2006年に改正された住民基本台帳法は、個人情報保護に配慮され、何人も閲覧可能という内容から、国又は地方公共団体や、住民基本台帳上認められた個人または法人のみが可能となり、一定の制限が設けられている」と説明し、除外申請を受け付ける考えがないことを明らかにしました。

 苫小牧市では、自衛隊の申し出により住民基本台帳法に基づき18歳及び22歳の市民の4情報(名前、住所、生年月日、性別)の閲覧・書き写しを認めており、自衛隊は得た情報をもとに自衛官募集に関するダイレクトメール(DM)を送付しています。

 除外申請は、本人または保護者がDMを送ってほしくない場合に申請することができる仕組みです。多くの自治体では、閲覧ではなく一部の情報の写しやデータでの提供としており、除外申請も併せて実施しています。

 小野寺議員は、防衛省に問い合わせた際「閲覧の場合でも、除外申請は各自治体の判断で可能であり、DMを出してほしくない方には出しません」と回答があったこと、さらに住民基本台帳法第3条市長村長等の責務には、「個人の基本的人権を尊重するよう努めなければならない」とあると指摘し、再度除外申請の必要性を求めました。

 市民生活部長は、住民基本台帳法には除外申請の規定がないことなどを述べ、除外申請はできないとの答弁を繰り返しましたが、小野寺議員はさらに、「総務省に問い合わせをしたが回答がなく、ようやく防衛省から回答がもらえた経緯を話し、「除外申請ができないというのであれば、総務省に問い合わせて確認すべき」と強く求めました。

 質疑を受け、現在市は北海道を通じて総務省に問い合わせています。

2022年11月

市議会決算委員会 小野寺議員 凍結防止剤散布委託で追求
市は契約違反なのに対応が甘いのではないか

市議会決算委員会 小野寺議員 凍結防止剤散布委託で追求
市は契約違反なのに対応が甘いのではないか

 苫小牧市議会の2021年度一般会計決算委員会で、日本共産党の小野寺幸恵議員は、指導への凍結防止剤散布を市が委託した事業者が契約に違反した作業をしていた問題をただし、当該事業者に対し、委託料の一部の返還を求めるよう迫りました。

 契約では作業を2人体制ですることになっていましたが、委託事業者5社のうち1社が1人で作業をしていました。委託料は人件費2人分が含まれています。

 この問題は、日本共産党市議団への相談があり、それを受け市が調査をして明らかになりました。告発の内容は、人目のない深夜に限り1人作業をしており、恒常化していました。21年度は確認されただけでも6回違反していました。

 市は今年6月議会で、「人員不足のため、やむを得ない限定的な違反行為だった」と認めつつも、市が管理監督責任を果たせなかったことを理由に、「委託料の返還は求められない」と結論付けています。小野寺議員は、「違反行為がありながら、市が2人分の委託料を支払うことは、市民の理解が得られない」と迫り、違反行為が明らかになっている6回分の人件費約10万円を自主返納するよう促すことを求めました。担当部局は、「自主返納は促すことができない」と答弁しました。

 小野寺議員は、6月議会で副市長が「市と事業者双方ともミスはあった」と市にも責任があるとする答弁をしていることに触れ、「第一義的には事業者が悪い。なぜ市も同列に責任があるのか」と迫りました。

 副市長は、「未然に確認しなければならない責任は我々にある。発注者責任(市)は極めて重いものがある」と答弁。「この決算委員会での提起は、私が責任を持って事業者に伝えたい」と約束しました。

 市は、今季の凍結防止剤散布の作業にあたり、作業車へのドライブレコーダーの設置や2名で作業をしていることが確認できる写真の提出、不定期の実態調査をするなど、対策を強化することが明らかになりました。

2022年10月

給食費半額特例一部返還されず
小野寺市議 コロナ欠席日数と支給に乖離指摘

給食費半額特例一部返還されず
小野寺市議 コロナ欠席日数と支給に乖離指摘

 苫小牧市の学校給食会では、2020年度から保護者への負担軽減として、新型コロナウイルス感染症により、8日以上連続学校を休んだ場合に給食費を半額にする対応をしています。2021年度に半額措置をした人数は386人(約100万円)でしたが、学級閉鎖や学年閉鎖、学校閉鎖になった複数の学校で半額措置はゼロとなっています。

 市議会一般会計21年度決算審査で、小野寺幸恵議員は「学級閉鎖や学年閉鎖の実態と半額の特例措置を受けている人数に大きな乖離がある」と指摘しました。給食センター場長は「学校側から連絡をもらうことになっているが、つき合せをおこなわなかった」と説明しました。


 この問題は、中学校に通う上の子減額通知があったのに、同じ期間休んでいた小学校の下の子は通知が来なかったという市民からの相談で明らかになりました。小野寺議員は、「学校はコロナの対応で混乱しており、給食センター任せであってもならない。市教委がフォローすべきだった」と追及。教育部長は陳謝し、「全校調査をして対応したい」と答えました。

給食の食材から異臭 保護者に知らせず

給食の食材から異臭 保護者に知らせず

 小野寺議員はまた、9月に給食食材から異臭が確認されたケースが2件あり、ただしました。

 7日には豚ひき肉の一部に異臭を確認、肉量を減らして調理し、21日はビビンバに使う調理前の豚ひき肉にも異臭があり、全て返品し、非常食(レトルトカレー)に切り替えて提供しました。


 2021年度は7件の異臭や異物混入などがあり、食材の微生物検査を実施しています。なかには、異臭食材を使用せず調理したケースもあり、小野寺議員は「給食費を払っている保護者への説明がなかったのはなぜか」と追及しました。


 給食センター場長は、異臭などは問題がなかったことを説明し、「給食として成り立っているため、保護者への説明はしていない」と答えました。


 また、非常食は保護者が支払う給食費で賄っています。小野寺議員は、「非常食を使用した要因は事業者にあるにも関わらず、なぜ保護者が負担するのか疑問。見直すべきではないか」と迫りました。


 教育長は、「私も議員と同じ思いです。災害などで食材が届かないことも想定されることから、非常食の購入を市で負担できないか検討したい」と答弁しました。

発熱外来の受診スムーズにできないのか

発熱外来の受診スムーズにできないのか

 37度、38度以上の高熱の症状があるとき、新型コロナウイルスに感染しているか発熱外来に受診しようとしてもスムーズに行かない実態があります。

 発熱して辛く一刻を争う状態にあるのに、保健所も医療機関も電話がつながりずらい、ようやくつながれば「予約がいっぱい」「ネット予約のみ」「カード決済のみ」と言う条件の医療機関もあります。

 9月市議会の厚生委員会で13日、日本共産党の原啓司議員は、「受診可能な医療機関を見つけ出すことに相当の労力が必要になっている」と指摘し、このような実態をどの様に改善していくのか市の考えをただしました。

 市の担当者は、「かかりつけではなくても受け入れてくれる医療機関は、4月末までの3箇所から12箇所に拡大され、体制構築を図っている。北海道が24時間対応ダイヤルを設置し、発熱者の対応に当たっている」と答えました。

 原委員は、市内の1医療機関において2311人に、ワクチンを誤った方法で保管し接種した問題で、健康への影響の可能性は低いとはいえ、軽視できない事案であり、なぜ、委員会の所管事項として取り扱わないかとただしました。

 市の担当者は、メーカーへの問い合わせで、「ワクチンの品質に大きな影響があった可能性は低いと考える」との回答を得たので、各議員への報告を配信して済ませたと答弁。原委員は、「医療機関は、様々なワクチンを扱い、常に緊張感をもって対応している」と指摘し、注意点についてどのように周知しているのか追及。市は、ワクチン開始時の説明会や配送時での注意文書で周知していると説明しました。

 発生原因については、医療機関の保管方法の誤認のみが報告されているが、市側が教訓とすべき点、再発防止策はないのかとただすと、説明会を通じて注意喚起、資料配布で周知したいと答えました。

 原委員は、コロナ感染者数の公表について、市民に対する感染対策の啓発、危機意識の向上、注意喚起のうえからも現行の週単位から日ごとの報告に改めることを求めました。むかわ町では、夕方と翌朝に防災無線を通じて伝えられていることを紹介し、苫小牧市でできない理由は何かとただしました。市の担当者は、北海道が全道の市町村に伺い、現在の公表方法になっており、今のところ見直しの予定はないと答弁しました。

 原委員は委員会終了後、「こんな対応で市民の命が守れるのか」と感想をのべました。

“氷都とまこまい”誇る氷上スポーツの持続のために

“氷都とまこまい”誇る氷上スポーツの持続のために

 苫小牧市の氷上スポーツ育成事業は、幼児や小学生低学年を対象に、氷上スポーツを体験する教室などを開催して、競技人口の底辺拡大とこどもの体力向上を目的に実施しています。例年約230人が参加し、過去5年間の平均で毎年16人ほどがスポーツ少年団や同好会などへの加入につながっており、市は、将来の氷上スポーツの振興に有効と高い評価をしています。

 氷上スポーツの中でも、アイスホッケーは、冬季五輪での女子チームの活躍もあり、近年注目を集めていますが、「氷都とまこまい」の象徴として氷上競技を将来においても持続可能にするためには、競技人口の増加が課題となっています。

 苫小牧市におけるチーム数や競技者数の実態は、苫小牧アイスホッケー連盟の登録によると2021年度末で小学生5チーム169人、中学生5チーム80人、高校生で5チーム90人となっており、過去5年間でほぼ横ばいで推移しています。社会人チームは、5年前の31チーム601人から、2021年度末には18チーム349人に減少し、全体でも51チーム1030人からこの5年間で35チーム747人に減少しています。

 市議会2021年度一般会計決算審査で、日本共産党の原啓司委員は、こども達が将来にわたりアイスホッケーを続けたいと思ってもらうためには、プロチームとの関わりが重要であると指摘し、苫小牧市は、レッドイーグルス北海道と包括連携協定を締結していることについて触れ、「プロチームと子ども達との交流などの場をつくることにより、競技への理解、競技人口の拡大に有効だと思う。プロの迫力あるプレーを実際に見てもらう機会をつくることも将来、競技を続けていく大きなきっかけや励みにもなる。」として、試合への招待などの企画について提案しました。

 市の担当者は、レッドイーグルス北海道とこの事業との関わりについて「体験教室の指導に元王子イーグルスの選手や競技経験者が担当している。スポットでスマイルジャパンの選手やレッドイーグルスの現役選手にも協力していただいている。」『はちとまネットワーク』による交流事業で試合観戦を実施している」と答えました。

中高生が競技続けられる環境に

 市によると、氷上スポーツ育成事業で、幼児や小学生の頃からアイスホッケーを始める子どもが増え、底辺拡大に一定の効果があらわれているとしていますが、中学生以降の年代で競技を続けられない状況があり、中学校では単独でチームを作れるのは1校しかなく、他は合同チームとして編成されています。高校では、市内に9校あるうち、アイスホッケー部を登録しているチームは4校です。

 原委員は、中学・高校を通じて子どもたちが競技の継続が難しくなり、離れていくことの理由の一つに、練習会場への移動を保護者が担っており、共働き世帯が増える中では、大きな負担になっていると指摘。「市として何らかの支援策は取れないのか」と強く求めました。

 市の担当者は、「以前に送迎バスを検討したが、相当の費用がかかる。他の競技においても子どもの送迎を保護者などが担っていることから、アイスホッケーに限って支援することは難しい」と答えました。

 競技を続けることを難しくしているもう一つの理由として、アイスホッケー用具が高額であり、新品一式を揃えると安くても8万円以上かかることが挙げられます。スティックなどはシーズン中に破損し、補充が必要なものもあります。原委員は、「子どもの成長に合わせて買い替えも必要になり、保護者の負担はあまりにも大きい。中古品の譲り受けシステムなど何らかの負担軽減になる施策も必要なのではないか」と迫りました。

 市の担当者は、「この事業の参加者に対して、使用した防具一式を苫小牧スポーツ協会から1万円で販売することで初期費用の負担軽減をしている。」と答弁するにとどまっています。

 原委員は委員会後、「『氷都とまこまい』をうたうなら、アイスホッケーにもっと大きな支援をして、中学生、高校生が安心して五輪選手などを目指せる環境づくりをしなければ日本の損失です」と強調しました。

市議会決算委員会 小野寺市議 保険証廃止マイナ利用に疑義
市民にメリットなく医療機関も困っている

市議会決算委員会 小野寺市議 保険証廃止マイナ利用に疑義
市民にメリットなく医療機関も困っている

 厚生労働省は、健康保険証を2024年秋にも廃止する方針です。保険証を廃止した後はマイナンバーカードを基本とするとしています。

 マイナンバーカードを保険証として利用する『マイナ保険証』は昨年10月に導入され、登録者は現在、全人口の約2割(2,480万件)です。一方で、23年4月からシステム導入を医療機関に義務化する計画です。しかしカードを読み取るカードリーダーの設置した医療機関は全体の約3割です。

 日本医師会の中川俊男会長(当時)は6月の記者会見で、「来年4月までの原則義務化はスケジュール的に難しい」と述べています。全国保険医団体連合会(保団連)が行った調査(8月)では、約8割の開業医が義務化に反対し、設備投資やランニングコストの負担が大きいことを反対理由のトップにあげています。

 9月議会の2021年度一般会計決算で、日本共産党の小野寺幸恵議員は、日本医師会会長の談話や保団連の調査結果を示し、市内の開業医からも情報漏洩の不安とともにシステム化の負担が大きいとの声があることを紹介し、マイナンバーカードの健康保険証利用について質問しました。

 市は、9月末時点で、18%の歯科も含めた医療機関がシステムを導入していることを説明。今年度中に100%目指すという国の計画に照らし、遅れていることを認めました。

 小野寺議員は、「市は保険証化によるメリットを縷々述べてきたが、市民は保険証化より物価高騰もありマイナポイント(最大2万円)取得が目的です。マイナンバーカードが必要なわけではない」と指摘。市は「私たちも振り回されている」と述べ、小野寺議員は「市よりも市内の開業医の方が振り回されて困っている。共産党はマイナンバーカードを推奨する立場ではないが、国がやるから開業医もやれということはあってはならい」と強調しました。

 市は、「自治体は関与できない。マイナンバーカードの読み取り装置には補助金はあるが、システム改修には費用がかかり、整備が遅れている」との答弁に留まりました。

高齢者の負担増認められない
冨岡市議 介護と後期医療会計に反対討論

高齢者の負担増認められない
冨岡市議 介護と後期医療会計に反対討論

 苫小牧市議会の企業会計決算審査特別委員会は7日、3特別会計と4企業会計の2021年度決算審査を終え、各決算を認定しました。

 日本共産党は介護保険事業と後期高齢者医療の2特別会計決算について反対討論を行いました。

 日本共産党の冨岡隆議員は、介護保険事業について、食費にかかる補足給付の制度改正により、介護施設入所者のうち年収入120万円以上の人の食費分が、年間24万1800円から50万4000円と2倍以上増え、さらにショートステイ利用者全員の食費も値上げされたと指摘。認定者数は決算時には759人から623人(136人も減)となり、うち値上げ対象者542人から439人で103人減るなど、補足給付費の影響額はなんと6657万5216円に大幅減となっています。

 冨岡委員は、「大幅な値上げで入所申請を控える事態が起きている高齢者の声を示しながら、なぜ認定者数が減ったのか、補足給付の見直しが影響しているのではないか」と追及。「介護施設が不足し、低年金者が増えているもとで、高齢者が安心して介護が受けられる内容にほど遠く、到底認めることはできない」と決算に反対しました。

 また冨岡委員は、後期高齢者医療について、これまでもわずかな年金から保険料を取ると同時に払いたくても払えない人から保険料を取るひどい制度であり、廃止以外にないと主張してきたと強調。国は導入当初から負担があまりにも大きいことから特例軽減の必要性を認めてきた経過があり、今はさらに高齢者の生活環境は厳しい実態にあると指摘。「だからこそ特例軽減を維持するよう道広域連合から国に要望してきているのではないか。特例軽減がすべてなくなり、あらたに4856人、影響額は1900万円にも上ることが明らかになっており、到底認めることはできない」と力を込めて反対討論しました。

民間施設へ代替に補助制度を
動物火葬場廃止で提案

民間施設へ代替に補助制度を
動物火葬場廃止で提案

 苫小牧市の動物火葬場の廃止が示されています。動物火葬場は、1978年の供用開始から40年以上経過し、老朽化が著しく、市の職員が自前で修繕や補修をするなど極力経費をかけずに運営したきましたが、使用の限界に近づいていました。今後の施設の建替えや大規模改修を行う場合、多額の費用が必要になること、また近年民間動物火葬場の開設にともない市施設の利用は年々減少している現状です。

 民間施設などで代替することが可能と判断され、民間を利用できない人のための経過措置として、受け入れ箱の設置を継続し、あるいは沼ノ端クリーンセンタ―(ゴミ焼却施設)に祭壇を設け、遺体を受け入れることが検討されています。

 日本共産党の小野寺幸恵議員は9月市議会の代表質問で、経過措置は民間への代替ではなく、クリーンセンターへの転換であり、遺体をゴミとして扱うことになると指摘。「ペットは家族同然の存在であり、民間のペット霊園を利用できない市民は、大事なペットをゴミと一緒に燃やされることになり、その心境を思うと大変心が痛む。経済的理由で民間施設の利用ができない人のために、市独自の補助制度をつくり、応援する仕組みが必要ではないか」と迫りました。

 日本共産党の原啓司議員もこの問題について市議会厚生委員会で取り上げ、「火葬場の利用が減少しているといっても、昨年度は2,732件の火葬を受け入れており、廃止することによる影響はあまりにも大きい」と指摘。市民からは「多少費用負担しても安心して利用できる市の施設を維持してほしい」「廃止の理由は理解できる点もあるが、何らかの負担軽減はできないか」との声を紹介し、「民間利用となると小型動物でも最低7,000円から2万円程度の新たな負担が生じる。何らかの市独自の補助制度の創設をすべきではないか」と提案しました。

 環境衛生部長らは本会議と委員会で、「動物火葬場廃止の対応について現在検討しているところ。民間のペット火葬場利用にかかわる補助制度の創設については市民サービスの公平性の観点から難しいものと考えている。経過措置を設け、当面の間、飼い主の影響や心情に十分配慮した方法を含め、検討したい」と答えました。

給食残渣をバイオ発電に活用
食育に逆行しないか心配

給食残渣をバイオ発電に活用
食育に逆行しないか心配

 苫小牧市は学校給食の残渣処理をバイオガス発電でリサイクルすることを検討しています。市がすすめるゼロカーボンの一環にもなり、大変歓迎されるところですが悩ましい課題があります。

 日本共産党の小野寺幸恵議員は9月議会の代表質問で、「給食残渣の有効活用は、子ども達が給食を残していいんだという気持ちを抱き、残す量が増え、食育に逆行するという懸念がある」とただしました。

 教育部長は、「給食残渣活用の検討は、給食を残すはもったいない、ただ捨てるだけではではなく、何か、誰かのために活用できないかというのがスタートであって、子ども達が感謝の気持ちを持って残さず食べる食の指導が第一にある」「結果としての残渣を活用するもので、議員が心配されるような意識に決してならないように、これまでどおり、しっかりと食指導を継続していきたい」と強調しました。

2022年9月

軍拡と憲法問う
改憲は非核平和都市条例の理念崩れてしまう

軍拡と憲法問う
改憲は非核平和都市条例の理念崩れてしまう

 苫小牧市議会の9月定例会で9日、日本共産党の小野寺幸恵議員は代表質問に立ち、軍拡と日本国憲法についての市長の政治姿勢をただしました。

 ウクライナ情勢などを踏まえ、岸田首相は今後5年間で防衛費をGDP比2%にする、すなわち今の2倍、11兆円規模にする方針を示しました。この規模は国際社会から見ても軍事国家と言える規模であり、これまで政府が憲法上認められるとしてきた自衛のための最小限の実力をはるかに超えることになります。


 小野寺議員は、「軍拡は相手を不安にさせ、攻撃するきっかけを与えることになるのではないか。市民の声明、財産を守るため、しっかり対応したいという市長の思いを、軍拡ではなく外交力に向けていくよう政府に働きかけるべきではないか」と市長の見解をただしました。


 岩倉博文市長は、「敗戦国であり、祐いつの被爆国でもある日本政府の立場としても当然、外交による解決を最優先としているものと考えている。ロシアによるウクライナ侵攻など、昨今の国際情勢を踏まえると、一定の防衛費の増額はやむを得ないものと考える」と答弁しました。


 軍拡の流れは日本国憲法との矛盾をいよいよ大きくします。岸田政権は憲法9条に自衛隊の明記を狙っています。憲法の基本的理念である恒久平和の実現と非核三原則の実現に努めることを決意し制定したのが非核平和都市条例です。改憲されてしまえば20年間守ってきた条例の理念が崩れてしまいます。小野寺議員は、「条例を守る意味からも、憲法改正はすべきではないと、政府に求めるべきです」と力を込め市長の見解をただしました。


 岩倉市長は、「憲法9条が改正点の柱の一つになっている。自衛隊は国防の要であり、さらに世界の平和貢献活動や大規模災害支援にも大きな役割を果たしているが、憲法上の根拠が曖昧だとして長い間、憲法解釈について議論されていることも事実である。政府として、自衛隊の憲法上の根拠を明確にすることが、憲法改正を進めたい理由の一つであると認識しており、私自身一定の理解をしている。改正に向けては国民の間で十分な議論を行い、理解を得ながら進める必要があるだろうと考えている」と答弁しました。

祭りで自衛隊PR 相応しくない
「港まつり」での自衛官募集や車両展示質す

祭りで自衛隊PR 相応しくない
「港まつり」での自衛官募集や車両展示質す

 小野寺幸恵議員は、「港まつり」に自衛隊車両が展示された件で、「港まつりは、小さな子どもから高齢者まで誰もが楽しむための平和的イベントであり、自衛官の募集を兼ねた車両の展示は相応しくなく、市は歓迎の立場で展示を承認したのでしょうか」とただしました。

 産業経済部長は、「今回の展示車両については、国民を守る災害派遣等の活動にも使用する車両であることから、自衛隊業務のPRの一環として展示を承認したもの」と答えました。


 小野寺議員は、お祭り会場での自衛隊PRは、やめるべきとし、「自衛隊の業務内容が、安保法の成立後軍隊的な要素が一層強くなっており、集団的自衛権も容認され、子ども達には、まだ理解できないと考えられます。また中学生に対しての自衛官募集は、社会的経験も浅く判断力が未熟との理由から学校を通すことになっており、直接的な働きかけは禁止されています。お祭り会場は中学生以下の子どもも多く、不特定多数かつ無差別に働きかける場所となり、相応しくありません」と指摘し、港まつり会場での自衛隊車両の展示およびPRは、次回以降断るべきと迫りました。


 経済産業部長は、「今回の承認について問題があったとは考えていない。この度の質疑や団体からの要望を踏まえ、常設委員会や実行委員会でPRブースのあり方について協議・検討していきたい」と答えました。

岩倉市長「国葬に一定の理解」
毅然と中止求めるべき

岩倉市長「国葬に一定の理解」
毅然と中止求めるべき

 苫小牧市議会の代表質問で9日、日本共産党の小野寺幸恵は、岸田首相が国民とともに安倍元首相に弔意を示すことは重要とのべたことについて、「国民への弔意の強制につながり、内心の自由を保障する憲法に反する。国葬には法的根拠はなく、閣議決定で決めることは議会制民主主義を踏みにじる行為で中止すべきです」と主張。そのうえで、市長は毅然と国葬中止を求めるべきとし、その認識と見解を迫りました。

 岩倉博文市長は、「憲政史上最長の重責を担ったこと、震災復興、日本経済の再生や日米関係を基軸とした外交など大きな功績をあげたことを理由として国葬の実施を判断したことは一定の理解をしている」「国葬には賛否を含め様々な意見があることも事実で、岸田首相には終了後に費用の総額など、国民に改めて丁寧な説明を期待している」と答弁しました。

苫小牧市議団らが道交渉・住民と地域の要望実現へ
カジノ誘致・住民の合意なく突き進むのか

苫小牧市議団らが道交渉・住民と地域の要望実現へ
カジノ誘致・住民の合意なく突き進むのか

 全道各地の日本共産党地方議員らが8月23日、道庁を訪れ、北海道などに対して切実な住民と地域の要求を届けてきました。苫小牧からは、小野寺幸恵、冨岡隆、原啓司の3市議と、森本健太青年学生部長が参加し交渉しました。

 苫小牧からの要望は、①カジノ収益に依存するIR(統合型リゾート)誘致はただちに断念すること②児童相談所苫小牧分室設置にともなう一時保護きのうの整備と職員の増員をすること③道営住宅の草刈りの実施、空き家の修繕と共益費(電気代)負担の3点です。

 原市議は、IR誘致に対し「知事は環境調査を理由に申請を見送ったが、苫小牧市では半数以上の市民が反対している。住民の合意のないまま突き進むのか」とただしました。

 道の担当者は、IRは民間投資や観光消費など本道の発展に寄与する大きな可能性が期待される一方で、感染症の影響によるIR事業者の経営状況や社会経済状況など注視していく必要があるとし、「中期的な視点に立って、諸課題の整理を行い、北海道らしいIRコンセプトの構築に向けて取り組みたい」と従来の回答を繰り返すだけでした。

 森本青年学生部長は、児童相談所分室が設置され一年半が経過する中で、室蘭児相全体の半数以上の一時保護を行っており、子どもの命最優先の立場で一時保護機能の設置を求めました。

 道は、「苫小牧の一時保護件数は多いので、機能があったらいいと思うが、お金に限界がある」と述べるにとどまりました。

 小野寺議員は、道営住宅の敷地内の草刈り業務について、「入居者の高齢化により草刈りは困難な状況になっていることから道条例を見直し管理者による草刈りの実施をしてほしい」と求めました。

 道の担当者は、「全道どこでも入居者負担で実施していただいている」とし、入居時の周知をはかることを強調し、条例の見直しには言及しませんでした。

 共益費の電気料金は入居者負担が原則と冷たい対応でした。